Monthly Archives:11月 2019

『踊ってミタ』観てみた

11月 20, 19
sfcfc
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 映画がロケ地や作品の舞台になった地などで公開前に上映されるのはたまに耳にしますが、群馬県中之条町で開催された映画祭にて、『踊ってミタ』がなんと公開日より4ヶ月も早く上映されました。佐野フィルムコミッションも同作を支援しているため、佐野FCの公式HPでも、詳しい公開日の情報が出ています。

 前回の投稿で書いたとおり、同作を一足先に観てきたので、作品への興味をそがないように、ほんの少しだけ感想を。それでいて作品への期待をわずかでも高められたら幸いです。タイトルでもわかるとおり、ダンスを動画投稿する「踊ってみた」をはじめ、ネットを主戦場とするクリエーターとのコラボも見どころですが、物語の主軸は地方の町おこし。主人公は映像作家を夢見て上京するも挫折、有名観光地などない特徴に乏しい地元に戻ってきた青年。町役場のシティプロモーションなる課に勤めるもやりがいを見出せずにいたが……という感じの導入部。

 主演の岡山天音さんが逆オーラとでもいうべきうだつの上がらなさを醸し出し、自分はとても親近感をおぼえました。現状に満足できないけれど、どうしたらいいのかわからない、漠然とした心さだまらない感情は、多くの人が抱えているものでしょう。そんなどこにでもいそうな青年を見事に体現しているからこそのシンパシーなのかと思いました。しかし、成り行き上、踊りを使った町おこしに渋々携わり、多くの人に接し、渋々が徐々に熱がこもっていくところも、さすがの表現力。

 他の登場人物も、似た立場、似た境遇、似た性格など、けっして荒唐無稽なキャラクターはおらず、多くの人が感情移入できそう。ストーリー上、誰も不幸にならない、善悪をつけない、失脚した感じの町長やアイドルのプロデューサーなども、ズタズタに傷ついてというものではなくライトに描かれており、とても前向きになれる。かといって、メッセージが強烈すぎて肩が凝ってしまうようなものではなく、ちょっと一歩を踏み出したら何か好転しだすかもというような、「これなら自分も!」と思えるような内容でした。

 ボーカロイド、水中ニーソとかコアな層に響く要素も、多くの人が感動する普遍のテーマの中ですごく上手に活かされている印象。公開までまだ間がありますが、ワクワクしながら待つ価値ありの作品だと思いますよ。

廃校利活用の映画祭

11月 13, 19
sfcfc
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 群馬県中之条町にある伊参スタジオは、多くの映像作品の撮影地となっています。旧町立第四中学校を利用した施設で、撮影場所として使われるだけでなく、映画などの制作スタッフの合宿所、同町でロケがおこなわれた作品のポスターやチラシ、出演者のサインなどの展示公開スペースとしても活用されています。

 同スタジオは、群馬県民の人口が200万人に到達したことを記念して制作された映画『眠る男』(1996年公開)で撮影拠点として使われたことを機に整備されました。2001年からは年1回、映画祭が催されており、今年も11月8日から10日にかけて行われ、通算19回を数えます。

 佐野フィルムコミッションも支援している『踊ってミタ』が先行上映されるということで、映画祭中日である9日に鑑賞のためお邪魔させていただきました。作品の感想は次に回すとして、まずはこの廃校を利用した施設、そしてこのイベントに関して思ったことを記したいと思います。

 ロケーションはまさに山村の小さな学校という感じ。木造2階建ての校舎は、装飾などほとんどなく、黒い板と白の窓枠が素朴さを醸しています。周りに大きな建物など見えるはずもなく、山並みが望まれるさまは、田舎らしさを表すには絶好の地。校舎だった屋内もほぼ往時のままのようで、板張りの一直線の廊下に面して教室が並んでいます。

 建物自体はあまり手を加えずに、その中に入れるものをうまく考えて活用した好例という印象。かつて教室だったスペースには町で撮影された映画で使われた小道具や移築したというセットまであって、訪れる映画フリークの目を引いています。

 そんな同所でおこなわれる映画祭は、校舎の隣に並び建つ体育館にスクリーンをしつらえて、町ゆかりの作品を多数上映。祭りに先立ち募っているシナリオコンテストの受賞者発表もあり、規模的には控えめな印象でもスタッフや参加者の熱量が高いのをひしひしと感じました。10時前から19時過ぎまで1日中たっぷりと映画の世界に浸れるイベントなので、昼食時には校庭で地元の飲食店がラーメンや牛丼、コーヒーなどを販売、町ぐるみで来場者をもてなす催しになっていると感じました。

 子供の減少が続く現状をかんがみれば残念ながら今後も廃校となる学校は増えていくことでしょう。佐野市でも新たに使われなくなる学校が出てくるようで、こうした映像作品を使った廃校の利活用があってもいいのではと思いました。

必要になるその日まで

11月 01, 19
sfcfc
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 台風19号ハギビスの爪痕は深いようで、過ぎ去ってから半月も経ちましたが日本各地の被災地では多くの人が困難を強いられています。そんな大変な状況の方からしたら些細なことかもしれませんが、佐野市でも災害復旧体制が続き、FCも平常のような活動はなかなかできていないようです。そこで今回は、FCの範囲を超えて、佐野サポーターとして、浸水被害に遭われたお宅でのボランティアに関して記していきます。

 市内を流れる秋山川や旗川などが堤防決壊、越水したため、田畑だけでなく住宅地や店舗、工場なども水に浸かり、それが引いた跡には多量の泥土が残されました。災害復興ボランティアの主な作業は、庭や屋内に溜まってしまったその泥を取り除くこと。市内、栃木県の他市町、遠くの都県の方々も一緒になって、汗を流しています。

 スコップですくってもすくっても「まだまだある…」積もった泥の厚さは所によっては50cmにも及びます。床上まで水が入ってしまったお宅では、タンスや本棚などの家財はほとんど使えなくなり、廃棄物として屋外に運び出します。水を含んだ物はどれも重量が倍加しており、特に畳などは数人がかりでやっと持てるほど。しかし、被災された方々の辛さの何百分の一かでも引き受けられるのならと、皆、自分ができることを懸命におこなっています。

 FCが支援する映像作品は、生活必需品とはいえないでしょう。被災者がまず欲する飲食物や暖かな衣料とは違い、不要と感じられるかもしれません。しかし、観れば前向きになれたり、感動で心が洗われたり、時が経ち落ち着きを取り戻し少し余裕ができたならば、むしろ必要なものでしょう。被災者も、ボランティアで疲れた人たちも、危急の時が過ぎたならば、ゆっくりと映像作品を楽しんでほしいと思います。